TÓPOS DANCE PROJECT

フィールドワーク:アンダルシア(マラガ、グラナダ) プロジェクトチームのダンサー、パウ・アラン・ジメーノ、美術家、尾角典子と顔合わせを兼ねて6月6日から8日の間にアンダルシア地方のマラガ、グラナダにてフィールドワークを行いました。マラガは人口約57万人のスペイン第6 位の都市であり、最近はポンピドゥーセンターの分館のオープン、市当局主導によるストリートアート・プロジェクト等、アートを通して街おこしを推進している都市です。マラガはパブロ・ピカソ生誕の地としても有名であり、私たちは、ピカソの家族(孫とその母)によるコレクションの寄付によって2003年にオープンしたマラガ ピカソ美術館に行き、 彼の作品を鑑賞しました。

マラガ滞在の翌日に、私たちはグラナダに行きました。グラナダはイスラム教徒がスペインに残した最高の遺産の一つと呼ばれるアルハンブラ宮殿がある街として知られ、世界の観光客が訪れる都市です。「アルハンブラ」という名称は、アラビア語で赤い城を意味し、この城塞都市では異なる時代の建築を見学することができます。私たちはオーディオガイドにしたがって、アルカサーバ(コルドバを首都としイベリア半島において8世紀から11世紀まで続いた後ウマイヤ朝時代に建てられた城壁)、13世紀から15世紀末に かけて繁栄したナスル朝グラナダ王国の頃に建設された宮殿、へネラリーフェの離宮(王の別荘、水の宮殿)、カルロス一世の宮殿(1492年にキリスト教国・カスティーヤ王国によるレコンキスタ後、建設されたルネッサンス様式の建築)を見学しました。

私は「スペイン」「ピカソ」「イスラム」等といった固有名詞に対して無意識に固定観を持っている自分がいると前々から思っておりました。今回のスペイン滞在においては、 実は全然知らないスペインの歴史と文化を学び、発見することも多々ありました。バルセロナ出身のスペイン人・カタルーニャ人であり、長らくドイツに住んでいたパウ・アラ ン・ジメーノは「アンダルシア地方に行くことはスペイン文化、歴史を学び直す上で意義がある。イスラム文化を研究することは、スペイン人である自分にとっても接点がある。 アラハンブラに行ってより明確になった」と語っておりました。私は、アラハンブラに行って、その幾何学模様、植物文の精密さ、屋根の立体感、光の取り入れ方に圧倒されました。 大学で比較文化を専攻した経験から、模様は人間の意識とどう関わっているのかという点 に興味を持って見学しました。日本にも「籠目文様」「麻の葉」「鮫小紋」を始めとする模様がたくさんあり、アルハンブラで初めて見たイスラム建築の模様とともに今後も研究をしていきたいと思いました。

グラナダは、スペインの詩人フェデリコ・ガルシーア・ロルカ生誕の地であります。スペイン人の大半は、この天才詩人の有名な緑の詩をバルで詠めるとか、否か。ロルカは虐殺された詩人です。その理由は複数の説がありますが、一説ではゲイの為に殺されたと言います。いつの時代にも圧政の下では、人種差別、性差別は生まれるものです。今の日本だって残念ながらそうです。私はゲイではないですが、ダンスに関わってから、本当に素晴らしいゲイの友達たちにたくさん会ってきました。だから時々、無神経な人々の発言を聞いて憤りを感じます。私はポエジーというものはアニマ(男性の無意識人格の女性的な側面)とアニムス(女性の無意識人格の男性的な側面)を開拓することだと思っています。もしかしたらダンスだってそうなんじゃないでしょうか? それがこのプロジェクトを行うにあたる個人的な問いです。緑色が好きな「私」がこの日本スペインダンスプロジェクト「トポス」でダンサーとして目指すのは緑の肉体なのかもしれません。

 

緑色わたしの好きな緑色。
Verde que te quiero verde.

緑の風、緑の枝よ。
Verde viento. Verdes ramas.

海の上には船。
El barco sobre la mar

山の中には馬。
y el caballo en la montana.

腰には影をおき、
Con la sombra en la cintura

娘には欄干で夢を見る。
ella suena en su baranda,

緑の肉体、緑の髪、
verde carne, pelo verde,

冷たい銀色の眼、
con ojos de fria plata.

緑色わたしの好きな緑色、
Verde que te quiero verde.

ジプシーの月の下で
Bajo la luna gitana,

物みな娘を見つめているが、
las cosas le estan mirando

娘にはそれらを見ることができない。
y ella no puede mirarlas.

「夢遊病者のロマンセ」『ジプシー歌集』フェデリコ・ガルシーア・ロルカ

 

とかく私たちは、飲み物を注文するとタパスがサービスで付いてくるという伝統で有名なグラナダのバルに向かったのでした。

文:石井順也

 

 

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